今に生きている不平等条約と勉強不足の鳩山総理

今に生きている不平等条約と勉強不足の鳩山総理

平成21年11月7日に 沖縄県 ・ 読谷村の 外間政和さん、66歳が車にひき逃げされ死亡した事件が起きましたが、県警の捜査の結果、フロントガラスが破損した車が修理に出され、そこに付着した頭髪の DNA が外間さんのもとと一致したことから、事故車の持ち主の沖縄駐留 アメリカ陸軍の通信隊に所属する2等軍曹、27歳 が何らかの事情を知っているとして任意の事情聴取を始めました。

容疑者と面会した弁護士によれば、米兵は「 人をはねて死に至らせたという認識は持っていない 」と話したことを明らかにしましたが、 事件当日は休みで、公務外だったことが分かりました。

容疑者の身柄は米軍により拘束されているものの日本側には引き渡されず、米兵の弁護人が 13 日に那覇地検に対して取り調べの全面的な録音録画を申し入れましたが、それが受け入れられなければ容疑者は以後の取り調べには応じないとしていて、現在 日本側は逮捕もできずに、任意の事情聴取は中断したままです。

本来日本人の容疑者であれば、容疑が固まれば逮捕状を請求してすぐに逮捕することができます。そして取り調べを基にして起訴するという順番になるのですが、ここで相手がアメリカ兵士の場合は地位協定が関わってきます。

問題となる部分は、地位協定第17条、第5項の(c)の以下です。

「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」(地位協定)

つまり、起訴がされるまでは、日本の警察が容疑者の身柄を拘束できなくなっているのです。しかし起訴をするためには、警察が取り調べをしないと十分な証拠が揃わないこともありえます。

起訴しないと身柄を拘束できない。しかし拘束しなければ、起訴もやりにくい。これでは「ニワトリが先か、タマゴが先か?」のジレンマになってしまいます。なんとも不条理な協定と言えるでしょう。

こういった事例に対処するために、日米政府は1995年10月に、以下のような合意に達しました。

「刑事裁判手続に係る日米合同委員会合意(平成7年10月)
一 合衆国は、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本国が行うことがある被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請に対しても好意的な考慮を払う。合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について同国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する。
二 日本国は、同国が一にいう特定の場合に重大な関心を有するときは、拘禁の移転についての要請を合同委員会において提起する」(刑事裁判手続に係る日米合同委員会合意)

この合意に基づけば、たとえ地位協定の取り決めがあっても、アメリカ側が同意すれば容疑者を日本の警察に引き渡すことができます。しかしそのためには、米兵の引き渡しを求める交渉をしなくてはなりません。普通の捜査と違って、手間が非常にかかります。

その原因は昭和35 年(1960)のいわゆる60年安保闘争 の際に結ばれた現行の日米安全保障条約に基づく地位協定の内容が、米国にとって非常に有利であり、日本側にとって不利なように規定されていることに原因がありますが、日本の歴代政権が地位協定の改定を怠たり、問題が起きる度にその場しのぎの対応をして来た結果でした。

鳩山政権は、平成22年5月28日夜の臨時閣議で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関する政府の対処方針を閣議決定しました。政府方針は普天間移設先として、キャンプ・シュワブの「辺野古崎地区及び隣接する水域」(沖縄県名護市)と明記しました。社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は閣議での署名に応じず、首相は福島氏を罷免しました。沖縄県民は基地移設問題の根底にある日米安全保障条約に基づく地位協定の内容が、あまりにも不平等であるから反対しているのです。沖縄県民は相次ぐ米兵の性犯罪事件や刑事事件について、我慢の限界にあるのです。鳩山政権は日米安全保障条約を破棄するのか、不平等条約である日米安全保障条約に基づく地位協定を見直し平等なものにするのかを基地の移設問題よりも先にすべきであると考えます。はっきりといって鳩山総理は勉強不足ですね。



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