「大阪締め」ではなく「大阪手打ち」について

「大阪締め」ではなく「大阪手打ち」について
社殿屋根銅板修理・拝殿修理ならびに九鬼稲荷社・祖霊社改修事業も最終段階に入り、時間的に余裕が出来たと思うと、平成23年10月15日・16日は当社の秋祭という大祭が執行されますので、休養を取ることが出来ません。

ところで秋祭には当社の「鶴見だんじり保存会」が氏子地域を2台のだんじりで曳行し宮入をします。それに先立って私が10月15日の早朝に、「だんじり会館」に出向き、曳行される2台のだんじりの安全祈願祭を執行します。そのときにだんじりの鐘を叩いて「大阪締め」という手締めの儀式を行ってお開きにします。

「打ーちまひょ」 パンパン (拍手)
「もひとつせ」 パンパン  (拍手)
「祝うて三度」 パパン パン(拍手)

もともと手締めとは、物事の落着や無事な決着を祝っておこなう拍手のことであり、取引や和解などが成立した際に、双方が揃って手締めをすることを手打ち式のことを言います。

大阪締めは大阪を中心に行われている手締めのことです。大阪締めは元々生国魂神社に伝わる櫓太鼓の打ち方と掛け声をなぞったものといわれています。

要するに「う~ちましょぅ」「もひとつせ」は手を打つのではなく、太鼓を打つことだったのです。昔は鶴見神社のだんじりも太鼓の代わりに鐘を叩いていたのでしょう。その後天満市場などの商いの成立のキッショ(吉祥)の手拍子として使うようになりましたので「手締め」と言わず「手打ち」と言うようになったようです。

「ほな、この辺で手打ちまひょ」という大阪弁も、この商売成立の手打ちからきいています。武士の街であった江戸では、殿様の勘気に触れてのお手打ちにつながるから「手打ち」と言わず「手締め」が一般的になったと言われています。私は「大阪締め」と言わずに、本来の言葉で「大阪手打ち」と言ったほうが正しいのではないかと思います。

ところで福岡県福岡市の博多では、博多手一本と呼ばれる独自の手締めが行われています。「博多一本締め」とも言われています。博多祇園山笠で行われるほか、福岡証券取引所の大発会・大納会、公私の式典、商談の成立などで行われます。手一本には、後日異議を唱えないという含意があるようです。

このように考えますと拍手とは、成立・賞賛や喜びを表す万国共通の表現であり、我が国では『魏志倭人伝』に、貴人に対する敬礼の所作として記されています。このことは神社参拝に際して、神様に対しておこなう拍手として、現在も受け継がれています。

 一方『古事記』では、雄略天皇が一言主大神に捧げ物を献上した際に、大神が手を打って受け取られたとあり、本居宣長はこの手打ちを、物を得て歓喜する様子であるとしています。
 
古い神社のお祀りによっては合拍手(あわせはくしゅ)と言って、勅使(天皇陛下使者)が奏上した御祭文を、宮司が受けて御神前に納める際に、宮司の拍手の後に勅使と宮司が会わせて拍手をします。これは双方に於いて授受の確認を表す作法であるとも言われております。
 
国内各地には、一本締めや三本締めなどさまざまな流儀がありますが、お互いの意志を確認し、一致団結を図っていくために、古くから伝えられてきた大切な生活習慣であると言うことができます。


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