神職の世襲について

神職の世襲について
年の瀬も押し迫るなか、都内神社における凄惨な事件が神社関係者をはじめ広く世間を驚かせました。「稲蓬莱」を氏子地域の会社や氏子さんたちの家々を回っていますと、富岡八幡宮のことについて質問を多々受けました。

当社は神職が私を含めて3名、富岡神社は12名の神職が奉職されています。富岡家と同様に当社も花谷家が代々宮司職を継承する社家です。先代からも「神社は神さまから預かったもの」であり、神職個人のものとは違うということを徹底的に躾けられました。

宮司とはそのお宮を代表する神職で、祭祀や社務などを主管する立場にあります。当社では禰宜が長男で、私の妻が権禰宜の職にあります。禰宜とは「祈ぎ(願い)」の語義で、神に祈請する者の意味があります。具体的には、宮司を補助して祭祀や社務をおこなう立場にあります。この禰宜を補佐する役目として権禰宜の職があります。

平成29年度、神社本庁に加盟している全国の神社は約8万社ほどあります。全国の神社の約98%が神社本庁包括下の神社です。そして神職は全国に約2万2千人おられます。しかし職員が宮司一人しかいない小規模な神社が多数あり、特に過疎地域においては、一人の神職が数十社もの神社の宮司を兼務している場合が多く見られます。私の友人は30社の宮司職を兼務していています。

ところで宮司の兼職率は全体で45%だと思います。経済的な理由から神職の兼業率が多いのです。教員や公務員、農協の職員など様々です。その兼業している宮司の子弟の兼業率は70%以上になると思います。神社の年間収入が300万円未満のところは6割強に上ります。

実は私も兼職しています。学校法人森ノ宮医療学園の理事をしています。学校法人森ノ宮医療学園は鍼灸師と柔道整復師を養成する専門学校と針灸学科・看護学科・理学療法学科・作業療法学科・臨床検査学科を要する森ノ宮医療大学があります。

さらに私は神社の社務所で針灸整骨院を開業しています。禰宜の息子は音楽家です。神社界では変わり者で通っていますが、息子も私も皇學館大学を卒業しています。

鶴見神社の社格は村社で大規模な神社ではなく、小さな神社で、しかも父ちゃん・母ちゃん・兄ちゃんの三ちゃん神社です。宮司と言えども氏子の各家庭を回り「稲蓬莱」のご寄進を頂くこともあります。

宮司は神社の神さまに祭祀・神事を司る「聖なる部分」と宗教法人の代表役員として神社の維持・管理のため対外的には法人を代表する活動を行ない、対内的には氏子・崇敬者、役員、総代といった様々な立場の人々を統括し調整する役目、「俗なる部分」があります。

世襲の神職が注意しなければならないのは、「神社は神さまから預かったものであるという自覚と祭祀・神事に勤しむ」ことです。それと「神社の物と個人の物との区別」を明確にすることです。そして「氏子があっての神職」という意識です。

宗教法人格を有している神社は一般企業と比較し、固定資産税などの税金面で優遇されています。それはあくまでも地域の文化や伝統を後世に残すという役目と地域のコミュニティやお祭などで地域の絆を深める場所、という役目があるからです。また地域の活性化や街づくりに神社は大きな役目を果たしているからです。そのことから神社は「個人のものではなく神さまのもの」という意識が神職には大切です。

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Dea Blanche Neige

そもそも神職は神に仕える神聖な職業で。
自分勝手にものを考えたり。
愚かな行為に走ってはいけません。
神社は宮司のものではなく。
神様が治めてほしいと依頼された。
神を祭った場所。
さすがに神社の中で。
しかも神職があんな凶行に走るのは。
神様も苦笑いです。

わたしはツクヨミの娘で白雪の女神。
現在待機中の身なのですが。
そのうちみんな懲らしめちゃうかもです。
あまりに神様を無視しているし。
無神論なのでは?とも思っちゃいます。
神様に仕えているという自覚がありません。
わたしは困った笑顔してます。
by Dea Blanche Neige (2017-12-22 14:27) 

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