「気」「陰陽説」「五行説」をうまく運用している日本

「気」「陰陽説」「五行説」をうまく運用している日本
私は今から46年前に皇學館大学文学部国史学科を卒業し、神職として奉職するかたわら関西鍼灸柔道専門学校で柔道整復師を、大阪鍼灸専門学校(現森ノ宮医療学園)で針灸師の勉強して、柔道整復師・鍼灸師の国家試験に合格し免許証を取得しました。

その後、25歳のときに中国に留学し中医学を学びました。再び28歳のときに上海中医学院(現上海中医薬大学)へ短期留学しました。2回の留学で「気」の思想や「陰陽説」・「五行説」の学んだおかげで「神道」が理解することができました。また日本人はすばらしい才能を持った民族だと再認識しました。

それというのも神社建築や神道の神事、伝統文化のいたるところまで、どれだけ陰陽説・五行説が生かされているかを知ることができました。本家の中国より日本の方が「気」の思想や「陰陽説」・「五行説」を上手く運用しています。

「五行説」の運用している例を挙げます。福岡県太宰府市に朱雀という町名があります。昔、京都市の千本通のことを朱雀大路と読んでいました。大相撲の土俵の上にある神明造りの屋根には青房は東方を守護する青龍、白房は西方を守護する白虎、赤房は南方を守護する朱雀、黒房は北方を守護する玄武を表しています。

神宮の正宮には色の座玉(すえだま)があります。また白川神道では地鎮祭の際に敷地の東西南北に東は青い石、西は白い石、南は赤い石、北は黒い石、中央は黄の石をそれぞれ鎮め物として埋める神事があります。これも「五行説」の運用です。

ところで今日は8月28日です。この「月」は「陰」、「日」は「陽」を表しています。1年を通して「月」の運行は「満月」が12回、「新月」が12回あります。それで1年を12ヶ月としたのです。「太陽」の運行を調べますと「10日」ごとに変化します。それを「旬」と言いました。1ヶ月を「上旬」「中旬」「下旬」と3つに分けていますね。今でも8月下旬と普通にいっていますね。

野球の「先攻後攻」の「先」が「陰」で「後」が「陽」です。このよう私たち日本人は知らないうちに「陰陽説」・「五行説」を使用しています。

「陰陽説」「五行説」って何ですか?この答えを知るには「気」って何ですか?ということから考えなければなりません。4000年前の中国の自然哲学では、この世の全てのものは「気」から出来ている、そして全ての自然現象は、「気の動きによる現象である」と考えたのです。

「気」とは神秘的な生命力を指しています。人間、動物、植物、鉱物、その他のあらゆる自然界におけるすべての万物はみんな気で出来ています。すべての活動も「気」の動きであると考えたのです。このように述べると新興宗教ですか、といわれるかもしれませんね。

それを「気」を細かく説明するために生まれた考え方が「陰陽説」や「五行説(木、火、土、金、水)」という考え方です。もっと簡単に説明すれば「気」を「陰気」と「陽気」さらに「五行の気」と分類したのです。

まず、「陰気」は「月」、「陽気」は「太陽」、人類は男と女の2種類がいます。女は「陰」、男は「陽」と分けました。「陰」は「夜」で静的な気の実在、「陽」は「昼」で動的な気の実在を意味します。

「陰」と「陽」のどちらかの優劣を問うのではなく「バランス」を重要視したのです。「陰陽」のバランスを保つことにより安定が生じると考えたのです。余談になりますが、男の中には男らしい人もおれば女らしい男もいます。女の中でも女らしい人もおれば男らしい女の人もします。

東洋相学では「陽」の中にも「陰陽」があり、「陰」の中にも「陰陽」とがある、と考えたのです。

東洋医学では、このように人間に流れる「陰陽」の「気」のバランスが乱れたものを「病気」と考えます。そして人体の中に「陰」と「陽」の「気」の通り道があり、それを「経絡」(けいらく)と呼んだのです。「経絡」上の一番バランスの調整できる箇所を「経穴」(ツボ)と呼んだのです。「経穴」のことを「風水学」では「龍穴」と呼びます。

「気」という哲学がないと、「東洋医学」は成り立たないのです。

上代の我々の先祖は「気」を「タマ」と言っていました。「言霊」(ことだま)・「木魂」(こだま)・「船魂」(ふなだま)・「天玉」(あたま・後の頭)の「タマ」です。「タマ」を今風に言えば「神気」です。

それよりも普段から「気」の字を使う民族は日本人が一番多いと思います。「気」の字がないと使えない言葉が多くあります。

元気、生気、強気、弱気、浮気、負けん気、勇気、勝ち気、やる気、気力、根気、活気、殺気、狂気、意気、陰気、陽気、眠気、呑気、覇気、雰囲気、平気、本気、和気、蒸気、電気、豪気、短気、損気、毒気

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「神気」

「神気」
東洋医学において、「望診」(ぼうしん)という診断方法は非常に重要なボジションを占めています。自分の視力を通して体全体・顔面の色艶・舌の色・経絡などを診て診察する方法です。現代医学の言う「視診」とは全く違います。根本的に違うところは「望診」で「神気」を診ることが第一義にしているところです。

「神気」とは一体何か、といえば生き生きとした「生命力」ということです。人種によって「白人」「黒人」「黄色人」等の区別することができますが、人種の色とは関係なく「生命力」を感じることが鍼灸師にとって大事なことなのです。

神社の宮司として鍼灸師を続けている一つに「神気」を診ることは神道に通ずることがあるからです。神職として神さまの「神気」を感ずることができなければ失格です。発現されている「神気」を生き生きと、すっきりと、はっきりと分からなければ神さまと感応できません。また「神気」には色があるのです。神さまに神饌(しんせん・お供えのこと)を供するときに「神気」に色を感ずるときがあるのです。神饌を供して祝詞奏上するときに、「神気」に精彩のある赤色・青色・白色など、またはっきりしない色を感ずることが、時々あります。

このことを鍼灸医学では「気色(きしょく)」といいます。患者の人体から発する「発色」の鮮やかさ、生命体に現れる色を診て、生き生きとしているのか、悪い状態になっているのか診断と治療に役立てているのです。「気色」を見て「神気」のないものを「失神」、あるものを「得神」といったりします。悪性腫瘍などで亡くなる寸前、一時的に「神気」が生き生きとするときがあるのですが、「残灯復明(ざんとうふくめい)」といって最期の灯火です。これを「仮神」といっています。

時々、中国人から「風水」を依頼されますが、そのときにも土地の「神気」を見ます。場合によって土を舐めて「神気」を判断するときもあります。もちろん「気色」も判断します。東洋医学も風水学も神道神学も「神気」を感ずる学問です。

当社はいつも境内・ご神木・神殿には、神気=玉=魂=生命力を感応できるように、「すがすがしさ」を感応できるように工夫し努力しています。それができなれば祝詞を奏上しても鎮魂をしても感応することはできません。そして常日頃から自分自身、気が枯れないよう(けがれる→汚れる)に気を使っています。



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「先天の気」とDNA

「先天の気」とDNA
神職の朝は早く、午前6時には境内の清掃を行っています。境内の清掃時、少しばかり暑さが和らぎセミの鳴き声もなく汗の出ることも少なくなりました。やっと暑い夏も終わり秋の気配が感じられるようになりました。

8月中は何かと忙しくブログを更新することもできなくなるほどでした。私の場合、神職のほかに鍼灸師・柔道整復師という仕事もあり、社務所の片隅で治療を行っています。特に鍼灸を希望される患者さんの中に難病指定の疾病に悩まされているお方もおられ、お盆休みの前は多く来院されます。そのことから鍼灸治療に忙殺され、疲れてブログを更新することができない状態でした。

久しぶりに更新します。

ところで来院される患者さんの中には「私の病気は遺伝しますか」という質問されることが多くあります。このことから今日は「遺伝子」について記載します。「遺伝子」とは、両親から子孫へ、細胞から細胞へと伝えられる因子のことです。細胞一つ一つには「核」があり、核の中には46本の「染色体」があります。46本の染色体は、23本は父親のものを、さらに半分の23本は母親から受け継いだものです。

この染色体をほどくと、「デオキシリボ核酸(Doexyribo Nucleic Acid) 、通称“DNA”が現れます。DNAは2本の鎖が規則正しく螺旋状になった「二重螺旋構造」になっていて、「ヌクレオチド」と呼ばれる単位の繰り返しでできています。つまりDNAは「物質」です。このDNAの入れ物の役割を果たしているのが「染色体」です。

「物質」であるDNAには設計図、つまり様々な情報が記録されていますが、その中でも特に遺伝情報について書かれている部分を「遺伝子」といいます。つまり「遺伝子」は「情報」です。「遺伝子」に書かれている内容全体を表した言葉が「ゲノム」ということになります。

次に病気と遺伝子の関係を記載します。病気の原因は、「遺伝子」が原因の「遺伝要因」と生活習慣が原因の「環境要因」があります。現代医学では難病など「遺伝要因」の影響が左右すると報告されています。

しかし花谷家は代々糖尿病の「遺伝要因」があります。叔父や従兄弟に糖尿病が多いのですが、糖尿病になっていない従兄弟もいます。それは食生活や生活のリズムを守っているからだと思います。「環境要因」によって守られているからです。

話しは少し跳びますが、鍼灸医学を通じて東洋医学を勉強しますと、2000年前の医学書「黄帝内経」の「素問」「霊枢」に遺伝子について記載されている箇所があります。当然、東洋医学に、「気」の哲学があります。これは生命の根源を指しています。

「気」は「先天の気」と「後天の気」に二つに分別できます。「先天の気」は両親から授かる根源的な「気」です。父親の「陽精」(精子)と母親の「陰精」(卵子)が合体・結合する瞬間に生まれるものです。

このことから「先天の気」はDNAに相当します。父母から受け継がれた「先天の気」は人間の「生・老・病・死」の全ステージに関わっていると考えられています。

「後天の気」とは、飲食物からつくられるもので「先天の気」を補うための栄養素と考えて下さい。また生きてゆくための「生活のリズム」や「環境要因」も「後天の気」には含くまれています。

東洋医学の面白さは父母から受け継がれた「先天の気」は、人間の誕生成長発育~死の過程を正常たらしめている根本的なエネルギーと考えています。先天性の疾患や、発育不良など「先天の気」つまり「遺伝子」が原因と思っていたのです。それも驚くことに2000年以上の前からです。

東洋医学では、がんや糖尿病、脳卒中、高血圧、心臓病などの生活習慣病は、「環境要因」つまり「後天の気」の不養生と考えています。「老」「死」というのは、「先天の気」の消滅のプロセスで「自然界の法則」あるから逆らうことはできません。ただ病気に関しては「後天の気」からの要因であるから食生活や漢方薬や鍼灸治療によって病気と上手く付き合って生きてゆく、と言う考えを東洋医学では持っています。



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