「奥都城」のお話し 

「奥都城」のお話し 
今日は、鶴見神社の参集所で亡くなられたお方の百日祭を執行し、その後、吹田市の霊園に出向き、納骨式のお祭りを行います。通常、百日祭のお祭りは亡くなられた故人の喪主の家で行うのですが、事情がありまして当神社ですることになりました。

ところで神葬の墓石に刻まれる「奥都城」「奥津城」「奥城」の文字は「おくつき」と読み、墓を指す語として用いられます。「おく」とは、奥深いことの「奥」や海上の「沖」また「置く」を意味するといわれます。また「津」「都」は(つ)と読み、現在よく使われる「の」と同じ格助詞で、上代に用いられていたものです。「城(き)」は棚・壁などで四辺を取り囲んだ一郭の場所をいい、「柩(ひつぎ)」という意味もあるとのことです。

全体の意味としては、「奥深い所にあって外部から遮られた境域」ということ、また「柩を置く場所」、或いは水葬がおこなわれていたとする慣習からの「柩を海の沖に放つこと」などの諸説が見られます。「奥都城」「奥津城」「奥城」の文字の違いについてですが、「奥城」は格助詞の「つ」を記さない形であり、「都」と「津」は表意文字ではなく、単に「つ」という日本語の表音に当てはめた万葉仮名ですので、意味において大きな違いはないと思われます。

但し、葬儀は地域の慣習が重視されますので、その地域地域で用いられる文字が定まっているようです。次に霊号に用いられる称名は、年齢・性別や出自・社会的功績などに応じてさまざまですが、現在では年齢・性別のみで選ばれることが多いようです。

乳幼児には稚児・若子などが、児童には男子が童子、女子が童女、青年では男子に比古(彦・ひこ)・郎子(いらつこ)、女子には比賣(姫・ひめ)・郎女(いらつめ)、壮年の場合、男子が大人(うし)、女性が刀自(とじ)、また老年では、男子が老叟(ろうそう)・翁(おきな)、女性が大刀自(おおとじ)・媼(おうな)などがあります。

また、霊号に冠するものとして、「惟神」(かむながら)や「天津」(あまつ)などの事例とともに「漏岐」(ろき)「漏美」(ろみ)などの例も見られます。祝詞や宣命の中には「神漏岐神漏美命」(かむろみ・かむろき)という語が用いられ、「神漏岐」が男性神の総称を、「神漏美」が女性神の総称を意味し、共に遠い祖神に対する尊称とされておりますので、恐らくこれを避けて「神」の文字を取った「漏岐」「漏美」をそれぞれ男女を区別するものとして霊号に冠するようになったものと思われます。


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