皇居の中にある水田

皇居の中にある水田 

 4月13日火曜日から鍼灸専門学校の東洋医学概論の講義が始まりました。大学や短大の講義は、行くだけでで疲れてしまいます。神社から自動車で20分間程度で通うことが出来ますが、1講義1時間半の講義ですが、準備に時間がかかるために、ブログに記載するのが1日1回となりました。4月になっても御祈祷の崇敬者が絶えることなく来られるので、神主の姿で治療をすることが多い毎日です。

 昨年10月、鶴見神社敬神婦人会の会員さんたちが皇居清掃奉仕に行かれました。皇居の中にある水田
を見学されました。案外、知られていないことのようですが、皇居にはお上(天皇陛下)が稲をお育てになる水田があります。この水田で天皇がみずから稲作をおはじめになったのは昭和天皇が最初とされていますが、今上天皇はその精神を受け継がれ、平成2年から、お田植えと稲刈りだけでなく、播種も行われるようになりました。2~3日前のテレビ放送でお上の播種のご様子が放送されていました。

 世界には30カ国ほど君主制をとる国があるそうですが、日本の天皇陛下のように、ご自分で水田に入り、稲を育てるというようなことをされる君主というのはほかにないでしょう。汗をかき、泥だらけになるのは「労働者」「農民」の仕事、と決めてかかるような国々が多いからです。

 天皇陛下の稲作は『古事記』『日本書紀』に描かれた神話に基づいています。『日本書紀』には、天孫降臨に際して、皇室の祖神天照御大神が、「高天原(たかまがはら)にある斎庭(ゆにわ)の稲穂をわが子に与えなさい」と命じられた、と記されています。

 天照御大神の孫に当たられる天孫ニニギノミコトの神名それ自体が、稲がニギニギしく豊かに稔るようすを表現している、ともいわれますが、天孫降臨は日本の稲作のはじめであり、皇室こそは日本の稲作の中心だ、ということになります。

 天照御大神を御祭神とする伊勢神宮で毎年10月に行われる、一年でもっとも重要な神嘗祭(かんなめさい)は、この神話に基づいている、といわれます。

 昭和天皇はこうお詠みになっています。

 わが庭の宮居に祭る神々に世の平らぎをいのる朝々
 
天皇陛下は人が見ないところで日々、祭りを行い、「国平らかに、民安られ」とひたすら神に祈っておられるのです。

 天皇陛下の祈りと祭りの精神を余すことなく物語るものとして、明治初年に残念ながら廃止されてしまったのですが、それまで1000年以上、続いた「さば」と呼ばれる、知られざる宮中行事があります。歴代の天皇は毎食ごとに皇祖天照御大神と相対され、「さば」の行事を行われたのです。食膳の料理を一品ずつ、少しずつかたわらの皿にお分かちになり、そのあとはじめて召し上がったというのです。皇祖神の神意を重んじ、「わがしろしめす国に飢えた民が一人あっても申し訳ない」という思いから、名もなき民のためにこの行事を続けられたといわれます。

 人は誰しも食によって命をつなぎます。食べるという行為は、単に物質的、栄養学的な意味にとどまりません。神人共食の神祭りであり、祖先への感謝の祈りなのでした。宮中行事の「さば」は皇祖と天皇と国民との一体化、そして命の共有を象徴する食儀礼なのでしょう。

 今年も天皇陛下が祈りとともにお育てになった稲は、秋には伊勢神宮の神嘗祭、宮中での新嘗祭にお供えされます。





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