宮中新嘗祭

宮中新嘗祭
今日は実際に宮中の新嘗祭がどのように行われているか、ご紹介したいと思います。

まず当日午前より神嘉殿内が整えられ、午後、掌典長以下が神座奉安を奉仕します。掌典はいわば宮中での男性の神主で、女性の神主は内掌典といいます。昨日、ふだん神嘉殿にはふだん神様がいらっしゃらないとお話ししましたが、ここで神様が迎えられるわけです。一般の神職で言えば降神の儀に相当します。

夕刻、綾綺殿に天皇陛下が渡御され、侍従の奉仕によって御祭服をお召しになります。比べるようで恐れ多いことながら、神職は自分でつけることが多いですが、本来装束は誰かに着せてもらうものなのです。まして御祭服は束帯と同じツクリとお見受けしますので、なおさら一人でお召しになるのは無理なのです。また、東宮便殿に皇太子殿下が参入され、東宮侍従の奉仕で斎服をつけられます。

参集所にあらかじめ集まっていた参列者が、式部官の前導で帳舎につき、それから掌典長が所定の位置につき、祝詞を奏上します。なお、帳舎はトバリの舎なのでテント状になっています。

ついで天皇陛下が出御、神嘉殿の中の隔殿の御座につかれます。剣璽を捧持して参入した侍従が、お側の案上に奉安します。次に皇太子殿下が参進、同じく隔殿の座につかれます。東宮侍従は壺切御剣(つぼきりのみつるぎ/つぼきりのぎょけん)をお側の案上に奉安します。壺切御剣(つぼきりのみつるぎ/つぼきりのぎょけん)とは、日本において代々の皇太子(東宮)に受け継がれた宝剣である。壺切の太刀ともいう。現在の皇太子である徳仁親王が保持している。


まもなく、神饌が運ばれて来ます。神嘉殿の階下に運ばれて来たところで、先頭の掌典が警蹕を行います。警蹕は神職なら「おー」と長く伸ばしますが、宮中では「おーしー」らしいです。すると、それを合図に神楽舎で神楽歌を奏し始めます。

天皇陛下はそれをお聞きになったタイミングで正殿の御座に進御、そこで陪膳釆女の奉仕で御手水、つまりお手を清められます。それから伊勢の御方向の神座の御前に、神饌をお供えなさいます。御枚手(おんひらて)に竹製の御箸を用いられ、もちろん古来の定めどおりにであります。これは一時間半にも及びます。

さらにその後、御拝礼、御告文を奏されると次は直会となり、御米飯、御粟飯、白酒、黒酒を聞し食されます。

この頃、皇太子殿下は正殿正面外側の座に進まれて拝礼(なお、神饌が親しくお供えされている間、隔殿の座で正座されたままです)、そのあと参列諸員がつぎつぎと庭上正面に進み拝礼します。

それが終わると陪膳釆女以下の奉仕で神饌がさげられ、次に、やはり陪膳釆女の奉仕で御手水なされます。ついで神饌退下、天皇陛下入御、皇太子殿下退下とすすみます。

正殿には天皇陛下のほかは、奉仕の陪膳釆女、後取釆女のみが奉仕します。隔殿には前述のように皇太子殿下、少し下座に侍従長、東宮大夫以下、掌典長以下で、参列された皇族以下諸員は庭上の帳舎に座っていらっしゃいます。

このように大まかな流れをご説明しましたけれど、午後六時の夕の儀と、午後十一時からの暁の儀のふたつがあって、全く同じお祭を行われます。神社で行われるお祭なら例祭でも約一時間ほどですから、ちょっとその御労力は想像できません。皇太子殿下にしても約一時間半、正座を二度されるのですから、大変なものと拝察します。さらに、掌典・内掌典の方たちは、前日に「鎮魂の儀」を奉仕されているんですよね。これも二時間ほどかかるとのこと。宮中ではまさに祭祀が厳修されているのを如実に感じます。宮中新嘗祭を順番に記述しますと次の通りになります。

1.平成22年11月23日午前9時
まず当日午前より神嘉殿内が整えられ、午後、掌典長以下が神座奉安を奉仕。降神の儀に相当する。

2.午後6時、夕刻、綾綺殿に天皇陛下が渡御され、侍従の奉仕によって御祭服をお召しになる。

3. 参集所にあらかじめ集まっていた参列者が、式部官の前導で帳舎につき、それから掌典長が所定の位置につき、祝詞を奏上、修祓のこと。なお、帳舎はトバリの舎なのでテント状になっている。

4. ついで天皇陛下が出御、神嘉殿の中の隔殿の御座につかれる。剣璽を捧持して参入した侍従が、お側の案上に奉安する。次に皇太子殿下が参進、同じく隔殿の座につかれる。東宮侍従は壺切御剣(つぼきりのみつるぎ/つぼきりのぎょけん)をお側の案上に奉安する

5. まもなく、神饌が運ばれる。神嘉殿の階下に運ばれて来たところで、先頭の掌典が警蹕を行う。警蹕は神職なら「おー」と長く伸ばすが、宮中では「おーしー」という。すると、それを合図に神楽舎で神楽歌を奏す。

6. 天皇陛下はそれをお聞きになったタイミングで正殿の御座に進御、そこで陪膳釆女の奉仕で御手水、つまりお手を清められる。それから伊勢の御方向の神座の御前に、神饌をお供えなさる。御枚手(おんひらて)に竹製の御箸を用いられ、もちろん古来の定めどおりにである。これは一時間半にも及ぶ

7. 天皇陛下御拝礼、御告文を奏されると次は直会となり、御米飯、御粟飯、白酒、黒酒を聞し食される。

8. 皇太子殿下は正殿正面外側の座に進まれて拝礼(なお、神饌が親しくお供えされている間、隔殿の座で正座されたまま)、そのあと参列諸員がつぎつぎと庭上正面に進み拝礼する。

9. 陪膳釆女以下の奉仕で神饌がさげられ、次に、やはり陪膳釆女の奉仕で御手水なされる。ついで神饌退下、天皇陛下入御、皇太子殿下退下

神嘉殿の正殿には天皇陛下のほかは、奉仕の陪膳釆女、後取釆女のみが奉仕する。神嘉殿の手前の隔殿には前述のように皇太子殿下、少し下座に侍従長、東宮大夫以下、掌典長以下で、参列された皇族以下諸員は庭上の帳舎に座っていらっしゃいます。


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