お稲荷さんの狐さんの像が口にくわえているもの

お稲荷さんの狐さんの像が口にくわえているもの
よく氏子・崇敬者から時々、質問される内容で面白いものがあります。今回はその一つです。関西ではお稲荷さんと気安く言われるほど、稲荷信仰が盛んです。二月の初午の日は、伏見稲荷大社では、参道は参拝者で混雑するぐらいです。私どもの鶴見神社でも会社の邸内社の稲荷祭にご奉仕させてもらいます。

ところで皆さん、お稲荷さんの横に狐の像を見かけられると思います。その狐の像が口にくわえている物を見かけたと思います。狐の像が何をくわえているかご存知ですか。それが今回の質問です。

稲荷信仰は稲荷神社の御祭神である倉稲魂命(うかのみたまのみこと)が五穀や食物を司る神です。倉稲魂命は農耕神・穀霊神としての御神格が中心となっています。このため神使の狐像が口にくわえているものも、「稲霊」を象徴する玉であったり、さらに稲束を刈る鎌をくわえたものなどを見ることができます。

珍しいところでは、穀物を納める米倉の鍵をくわえている狐の像もあります。この像からは穀霊神であるのと同様に自家の米倉、つまり家財を守る神、家内安全、家業繁栄の神としての信仰も窺うことができます。
 
このほかにも京都の亀岡で見た狐の像は、経文をくわえたものもありました。中には仏教の法具をくわえたものもあるそうです。神仏習合のなごりがあるからです。稲荷信仰が仏教の影響を受けたものです。詳しく言えば、仏教の茶吉尼天(だきにてん)と習合した結果です。

印度における茶吉尼天は、胎蔵蔓茶羅外院南方に位置する鬼神で、六カ月前に人の死を知り、その心臓を取って食らうという恐ろしい女神でしたが、日本ではこの習合により福神化され、狐に乗った稲荷女神の姿が民間に広まったことによります。

 ところで「右と左のどちらの狐の像がこうしたものを銜えているか」ということですが、狛犬と同様に社殿に向かって右(上座)が口を開いた「阿(あ)」であり、左(下座)が口を閉じた「吽(うん)」で、「阿吽」の対になっている場合は、口を閉じていることからも左の「吽」の方が物をくわえていることが多いと思います。

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