「氏神さま」

「氏神さま」
例年のことですが、「大阪市鶴見区緑に引越ししてきたのですが、氏神さまは鶴見神社でよろしいのですか」と言う電話が3月から4月まで増えます。「氏神さま」の代わりに「産土さま」(うぶすなさま)と呼ぶ人は関東から来た人に多いと思います。

もともと「産土さま」は、自分が生まれた土地で祀られている神社で、しかもそこでお宮参りをしていただいた神さまを言います。転居しても、生涯変わることが無いのが「産土さま」ですが、現在では住んでいる人は、そこの氏神さまの氏子、という考えになっているため、転居するたびに氏神さまが変わります。

世界中の宗教と呼ばれるものは、信者を多く獲得しなければ栄えません。そのため多くの宗教は信者獲得のための布教活動をします。以前の「創価学会」は折伏(しゃくぶく)という布教活動をしていました。相手と対話を通じて日蓮の仏法を伝える信者獲得の布教活動です。相手の間違った宗教に迎合することなく、日蓮の仏法は正しいと言い切る布教活動です。

また世界中の宗教には、入信の儀式があります。ところが神社神道にはありません。その代わり「氏子」である、「氏子」になったという言葉があります。そもそも「氏神」とは自分たち一族の祖先の神さまを指しています。そして「氏子」とは、その祭祀を司る一族のことでした。現在では意味が変わってしまい、自分たちが住んでいる土地を守護する神を「氏神さま」という概念で、その「氏神さま」の「霊威」の及ぶ所の範囲、氏子地域に住む人を指します。

難しいことは抜きで言いますと、子供が出来たり、引越した場合、仏教を信仰しょうが、キリスト教徒であろうが、イスラム教徒であろうが、自動的に住んでいる場所の氏子地域の神社の氏子になるシステムです。

神道は教祖によって作られた宗教ではありません。布教活動はしません。ほとんどの神社は24時間、自分の自由な時間に参拝出来ます。お寺のように門もなく、キリスト教会のように扉に鍵をかけません。神社は来る者を拒みません。教義も教典もありません。人種の差別もありません。

古代から自然や万物に神さまが宿られている、今年も豊漁・豊作でであってほしい、といっても祭祀を行い、東日本大震災のような天災が発生すれば、神さまに安心安全を祈願する原始的な信仰です。それ故に誕生したときから氏子というシステムが可能だったのでしょう。

お正月や何かがあれば神社にお参りしてきた日本人の大半は仏教という特定の宗教の信者ですが、強い仏教徒という自覚はありません。それと同時に神道でご先祖を祭祀している人はごく僅かなことも事実です。まあ、宮司の私の言葉で言えば、神道は世界教なのです。

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