手水について

手水について
全国津々浦々の神社の境内に手水舎と言うものがあります。一般の氏子崇敬者が、お参りすると、参道ぞいに水を溜めている場所が手水舎です。この水で手や口を清めてから参拝するのが普通です。当社も20数年前までは井戸水で清めてもらいましたが、地下鉄工事の影響で井戸は枯れてしまいました。

もう一つ社殿の中にも手水をする場所があります。当社の場合、参集所から御殿へ行く所にあります。全自動で手を差し出すと、自動的に水が流れるようになっています。祈祷・祈願に来られたお方も、同じように手や口を清めてから昇殿していただいています。水で手や口を清める作法は実は「禊」を簡略されたものなのです。

本来は身体自体に水をかけたり水につかったりして清める「禊」なのです。「禊」は川や海、滝に入る禊を行う神職もおられます。大阪府神社庁の場合、「禊」は神社関係者などの研修会等で行われることがあります。大阪府神社庁の庁舎は坐摩神社(いかすりじんじゃ)の境内地あり、そこに練成場としての「禊」を行う場所があるのです。

若いころの私は「禊」が好きで、きれいな海や川で数人と行いました。「源氏物語」第9巻(葵の巻)に次のような言葉があります。「たち出でて給えりし禊川の荒がりし瀬に」。内宮の五十鈴川で「禊」を行うのが最高に気持ちのよいものです。

他にも、神社で行うお祓いで塩湯(えんとう)という塩水が使われる事があります。
これは塩湯は榊の小枝に容器に入っている塩を入れた湯をつけてふりまくお祓のことです。

塩は現在でも葬式から帰ったときの「お清め」に使われています。これは「死者の国である黄泉の国から戻った伊弉諾尊(いざなぎのみこと)は、日向の阿波岐原の海で、自分の体に付いた黄泉の国のケガレを祓うため海水に浸かって禊祓いを行った」と記されており、この故事から由来があります。常に潮水である海水を浴びて身を清めたり出来ないので、その代わりに、塩水を用いた塩湯がお祓いに使われるになったのです。

鶴見神社では伝えられた白川神道の作法があり、手水の際に、「祓へ立つるここも高天の原なれば、祓ひ捨つるも荒磯の浪」という「荒木田尚重解除妙」の「祓の神歌」を奏上します。後に神殿に入るときは切火(きりび)を切って入ります。

古来火が清浄なものとする考え方から、火打石で火花を起こして、身を清めます。道具は火打ち石と金属の板で行います。神具屋さんに行けば売っています。「アメノホヒノカミ、アメノホノアカルタマノカミ、アメノホムスビノカミ」と念じて切火の祓を行います。これは神さまのお供え物、神饌にも行います。

そもそも神道では、神聖なものに近づくために心身を清めることは不可欠だと考えられています。それには「禊」が必要なのです。その代用が「手水の儀」ということになります。

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