深刻な中国の派閥闘争について

深刻な中国の派閥闘争について
毎日新聞の報道から記載します。

「重大な規律違反があった」として中国共産党が立件・調査を決定した前最高指導部の政治局常務委員、周永康(しゅう・えいこう)前党中央政法委員会書記(71)について、本人や親族、部下などから900億元(約1兆4400億円)の資産が押収された模様だ。ロイター通信が伝えた。周氏の親族や側近ら300人以上が拘束されたり、取り調べを受けたりしているという。習近平指導部は全容解明に向け周氏の「外堀」を徹底的に埋める構えとみられる。

中国共産党の派閥は、大きく分けて三つの大派閥を含めいくつかの地方派閥があります。
団派(共産主義青年団)、江派(江沢民派・上海閥)、太子党(高級幹部の子弟)の三つの派閥があります。この派閥が中央政界を動かしています。

先ず中国共産主義青年団は、中国共産党による指導のもと14歳から28歳の若手エリート団員を擁する青年組織で、略称は共青団ですが「団派」と呼ばれています。その中で弟一書記を務めた人物に胡錦涛(1984年12月-1985年11月- 第4世代)、李克強(1993年05月-1998年06月- 第5世代)等がおります。

現在では「団派」が地方のトップの1/3を占めています。例えば周強(1998年06月-2006年11月- 第6世代、過去に、湖南省党委員会書記、省長、現最高人民法院長)、胡春華(2006年11月-2008年05月- 第6世代、現広東省委書記)、陸昊(2008年05月-2013年3月- 第6世代、現黒竜江省省長)等が「団派」出身です。「団派」の特徴は、日本との関係を重視していることです。特に李克強は小沢一郎衆議院議員と密接な関係があります。

次の「江派(江沢民派・上海閥)」は、江沢民の影響を強く受けている利権集団です。反日的な派閥です。この「上海閥」は「中国海洋石油総公司」という巨大国有企業を擁しています。「中国海洋石油総公司」は9万8000人以上の従業員を有している巨大企業ですが、中国国務院国有資産監督管理委員会直属の国有企業でもあるのです。中国でいう「石油閥」が江沢民派の「上海閥」で石油利権を一手に握っているのです。今回、取調べを受けている周永康は石油工業省次官、CNPC総経理、国土資源相等を歴任した「上海閥」のホープでした。

胡錦涛政権時代を通して、「上海閥」に属している人物たちは、「奢る平家」のごとく権勢を振る舞ったのでした。2012年11月に開かれた共産党18回大会において胡錦濤体制から今の「太子党」の習近平体制に交代しますと「上海閥」はやがて受難の時代を迎えます。

「上海閥」から7名からなる新しい政治局常務委員会のうち4名の幹部を送り込んで習近平体制をけん制したのですが「上海閥」の江沢民が老齢化するとともに、権力にかげりが見えますと、「太子党」の習近平と「団派」の胡錦涛と手を結んで、「上海閥」を潰して石油利権を奪い取ろうと企ててきたのです。
 
ところで「太子党」は、中国共産党の高級幹部の子弟等で特権的地位にいる者たちのことを総称して言います。世襲的に受け継いだ特権と人脈を基にしています。国家主席の習近平を筆頭に、薄煕来などが「太子党」です。

「団派」と「上海閥」の中間的な存在です。それに加えて「紅二代」と呼ばれているグループがあります。「紅二代」とは現職の中国共産党の高級幹部の子弟等で特権地位にいる者たちとその総称して言います。この「紅二代」の多くは政権の要職についております。この「紅二代」が無視できなくなっています。海外での留学経験がある人物も多く中国の政財界に大きな影響力を持ってきました。この「紅二代」がこのほど国家主席の習近平に忠誠を近い、「上海閥」の利権を奪うことに同意しました。

今後、習政権による芋づる式の江沢民派の高級幹部たちの取調べが進めば、江沢民元主席への調査も現実味を帯びてきています。しかし「上海閥潰し」に、「上海閥」の連中が黙っている、ということはあり得ません。今後の派閥間の争いが深刻化すれば、中国国内のジニ係数が危険水準に達していますので、国内で騒乱状態になることもあります。尖閣諸島の問題どころか、中国国内に火種が上るかもしれません。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。